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【論説・コラム】勝利の女神がなぜメッシに微笑んだのか
※FIFAのホームページより
サッカー・ワールドカップ決勝は12月19日にカタールで行われ、リオネル・メッシ(35)擁するアルゼンチンが、前回覇者のフランスを3-3の延長戦同点の末、PK戦を4-2で下し、36年ぶり3回目の優勝を果たした。
戦前の予想では、連覇を狙うフランスがエースのキリアン・エムバペ(24)らタレント揃いの個の力でやや有利と見られた。故障者続出のトラブルを抱えつつも、層の厚さで王者の風格を見せる快進撃。初戦でサウジアラビアにまさかの敗北を喫したアルゼンチンよりも安定感があるとの見方が優勢だった。
スピードも精度も異次元レベルに成長したエムバペは選手として全盛期を迎えている。プレー領域が限定的なメッシよりもスタミナや当たりの強さで優れ、新旧のトッププレーヤーが世代交代を象徴する瞬間とも期待された。
ところが、試合開始からアルゼンチンがフィールドを支配し、疲労が残るフランスはシュートを全く打てない展開。前半で2得点したアルゼンチンが後半も主導権を握り、このまま押し切るだろうと思われた残り後半10分、フランスがPKを獲得し、エムバペのゴールで1点差に迫る。そのわずか97秒後、右からのクロスに倒れながらダイレクトボレーで合わせたエムバペのシュートがゴール左に勢いよく突き刺さり、スタジアムは歓喜と悲鳴に包まれた。頂上決戦は延長に突入する。
延長18分、ゴール前でパスを受けたメッシが右足で合わせて再び勝ち越し。三度目の正直かと思いきや、終了直前の延長28分、フランスのシュートがペナルティエリア内でアルゼンチン選手の手に当たりPKを獲得。これをエムバペがゴール左下に決め、再び振り出しに戻してPK戦での最終決着に。
フランスの1人目エムバペは、この日3度目となるPKを全て同じ左下のコースに勢いよく決め、アルゼンチンに重圧をかける。経験値の高い35歳のメッシがボールをセットすると、キーパーの動きを完璧に読み切った冷静なシュートで逆サイドに決め、重圧は後続選手に引き継がれる。フランス2人目のコマンは、レジェンド2人があっさりと振り払った重圧に屈して失敗すると、3人目のチュアメニも失敗。メッシ以外の3人を交代選手に蹴らせて精度を保ったアルゼンチンは4人全員が決めて決着した。
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