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【論説・コラム】日本経済はなぜ凋落し続けるのか

※イメージ画像

 

足下の日本経済が揺らいでいる。

 

32年ぶりに一時1ドル150円台を付ける円安や、欧米を中心にした急激なインフレとは対照的にゆったりとした物価上昇によって、日本の総資産価値は右肩下がりで減少し続けている。

 

32年ぶりという報道に大騒ぎする人々はともかく、メディアの中には円安を肯定する評論家もいる。たしかに、急激な円高となれば「輸出企業が潰れる」と強調するくせに、いざ円安が進むと内需で潤う企業経営者の懐ばかり取材して「経営がもたない」と言われても、「困っている一方だけを取材するな」と言いたくもなる。

 

が、現在の円安が全体として好ましいかと言われれば、決してそんなはずはない。各国の物価が跳ね上がりカネの価値が減損する中で、円はその中でも最弱レベルで価値を目減りし続けているのである。物価も上がり、円安も進むということは2つの価値基準で円は叩き売られているわけで、モノ>ドル(など国際通貨)>円、という形で急速な日本売りが現在進行形で進んでいるのである。

 

1980年代のバブル絶頂期、NYマンハッタンのロックフェラーセンターやエンパイアステートビルを日本人が所有し、ゴッホやルノアールの名画を財界人が買い漁るなど、円が世界を買い占めるのではないかと懸念されるほど円高と金融緩和で日本の総資産額は膨らみ続けた。

 

その後、急激な金融引き締めと利上げによってバブルは弾け、少子高齢化や国際競争力の衰退によって、日本のポテンシャルは楽観から悲観に白黒逆転してしまった。アジア各国の人口増や経済成長に比較して日本経済の相対的な弱さばかりが目立ち、ついには1人当たりGDPで世界30位(2020年IMF統計)に下落してしまった。27位の韓国、28位の英国よりも約2,000ドル低い4万2,000ドル台(当時の為替レートで420万円程度)となっている。つまり、年収で先進各国だけでなく韓国にも負けているのである。

 

名目GDP世界3位といっても1億2,000万人の総計であり、個々人は総じて貧困化がエスカレートしている状況である。また、購買力平価を換算した名目GDPはインドに抜かれ4位となり、長期的な伸びしろで見た場合、5位のドイツや6位の英国にも抜かれる可能性が高い。

 

そろそろ失われた「40年」などという新語が登場しそうな気配の日本経済の体たらくはどこにその要因があるのだろうか。

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