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【論説】音声だけで成り立つ番組『緊急通報指令室』

※イメージ画像

 

119番通報を受けるオペレータールームを撮影した1月13日のNHKドキュメンタリー番組「EMERGENCY CALL~緊急通報指令室~」が、非常に興味深かった。

 

横浜市消防局の全面協力で実現したノンフィクション。通報を受ける隊員は1人ではない。ベテランから若手まで、男女問わず訓練された隊員が、取り乱した通報者に対して適切な指示を行う。救急車が到着するまでの数分間、通報者の説明を聴きながら、視聴者はオペレーターと同様に現場の様子を想像し、通報者とバディを組むように最善の処置を施すよう指示を出す。呼吸が止まった人がいれば、最短の言葉で人工呼吸の処置法を伝え、「1,2,3,4……」とリズムを伝える。

 

帰宅すると父親が倒れているという女性からの通報。いまわの際なのか、「お父さん!お父さん!」と繰り返される絶叫に、涙腺が緩む。人が人の別れを悲しむ瞬間、事情なんて分からなくとも同じ人間としての情が重なる。しかし、オペレーターはそんな悠長な情には流されない。通報者を落ち着け、人工呼吸を休まず続けるように励ます。救急車のサイレン音を電話越しに聞き、施錠を開けるぎりぎりのタイミングでゴーサインを出す。

 

赤ん坊が泣き止まないと心配する人、深夜に不安を抱えて電話をかける人……1つ1つの通報にノンフィクションのドラマがあり、人生がある。オペレーターは休憩に入ると別室で簡単な食事を済ませて再び「現場」に戻る。

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