minsha 「とおる雑言」
台湾有事の際、どうする? 寺井融(母子福祉協会監事)
台湾有事が、話題となっている。
どんな時、どんな風に有事となるのかはさておき、その際の在台湾の邦人(約二万五千人)の救出が気にかかる。自衛隊法第84条では、自衛隊出動の条件として①戦闘行為が行われていないこと②当該国の同意があることなどが課せられている。
二〇二一年のアフガニスタンは、果たして戦闘行為が行われていない安全な状況だったのか、同意は、崩壊しつつある政権側か、攻勢を強めるタリバン側か、どちらからとるべきか、そもそも了解がとれていたのかなどが問われた。もともと「邦人救出要件」そのものが、絵にかいた餅なのである。安全なときなら民間機でも脱出できる。脱出しなければならないほど混乱しているのだから、同意を得るべき政府が正常に存在しているのかどうかもわからない。
台湾有事の場合、台湾が了解を得る当該国と言えるのか。日本政府の公式見解は、中華民国政府を「国家」として認めておらず、台湾を「地域」として扱っている。
しかし、日本政府は、台湾を中華人民共和国の領土として認定しているわけでは決してない。自国の領土と中国が主張している、と記しただけで国交を結んでいる。
したがって、台湾有事の際、(邦人救出のための)自衛隊出動の了解を、当該の「地域政府」たる台湾に請うべきか、それとも侵攻してきた中国政府に発するべきか。
そもそも約二万五千人もの邦人をどうやって救出するのか。戦火の中、民間機や民間船の協力を仰ぐのか。仰げるのか?