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【論説】欧米人とアジア人、長所と短所

※イメージ画像

 

アジア人と欧米人を比較する時、どんな違いが思い浮かぶだろうか。

 

言語、宗教、習慣、価値観、歴史……。髪の色から平均身長、顔の造形に至るまで、何もかも違うから、思い浮かぶ差異も千差万別かもしれない。

 

欧米は個人主義、アジアは集団主義と言われる。大リーグの球場観戦では、観客個々が野次や声援を送り、楽しみ方もそれぞれだ。プロ野球では、地元応援団がサックスや太鼓などで音頭を取り、選手個々の応援歌を合唱して、同じ球団を愛する者同士のバンド(結束)としての喜びを分かち合う。同時に、1人では大声を出せない個の弱さを補ってもいる。

 

個人主義にも集団主義にも長所と短所がある。前者は、個々が持つ意見や主張を出し合い吟味し、より良い解決法を見つける合理的な側面がある。一方で、意見がぶつかり、喧嘩や戦争になることも少なくない。後者は、互いを尊重し、ひとたびリーダーが決まれば従い、一致団結して課題に取り組むことができる。一方で、愚昧なリーダーさえも打倒できず、悪習を正す力の結集ができず、いつまでも1つの問題を解決できない悪循環に陥りやすい。

 

日本では、明治維新以降、薩長中心のリーダーに従って一致結束し、わずか半世紀で世界有数の帝国主義国家に成長することができた。集団主義の恩恵を一身に浴びることができたのである。戦争においても、この集団主義は軍部によって利用された。「欲しがりません勝つまでは」「ぜいたくは敵だ!」「日本人ならぜいたくは出来ない筈だ!」「聖戦だ 己れ殺して 国生かせ」「進め一億火の玉だ」などの戦時標語で「空気を読め」という集団心理を作り、国家のために命を捧げることを美徳に仕立て上げたのである。

 

戦後もまた、個々が苦難に耐えて秩序を保ち刻苦勉励し、奇跡の復興を果たした。GHQ(連合国総司令部)というリーダーの指示に従い憲法を作成し、米国がデザインした民主主義のレールに則って、曲がりなりにも先進国の仲間入りを果たすことができたのである。

 

ところが、自分たちでリーダーを作り、場合によっては選挙でそれを覆せるという民主主義のあり方は、高度経済成長を果たした日本から羅針盤を奪う結果となった。既存のリーダーから圧があれば盲目的に従う国民性が、ひとたび自分たちでリーダーを替えられるとなったとき、日本人はリーダーへの尊敬を失ってしまい、リーダーもまたリーダーたる行動が取れない政治的な混乱が生じることになった。

 

戦後復興という混乱が終わり、落ち着きを取り戻した1960年代以降、日米安保闘争から長く続く政治不信の考え方は、今に至るまで日本の停滞を招くことになったのである。常識的に考えれば、軍隊以外の何物でもない自衛隊を軍隊と認めず、変えるべき憲法を「平和の礎」などと信じる一定数の左派によって改正することも叶わず、当たり前のことを1つとして解決できない国になってしまったのである。

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