yukoku「憂国の風」

【憂国の風】 憂国忌を前にして想うこと   玉川博己(三島由紀夫研究会代表幹事)

 きたる十一月二十五日は昭和四十五年三島由紀夫先生が森田必勝烈士とともに壮烈な自刃を遂げてから五十一年目に当たる。

当時学生であった私は同志友人たちとともに追悼集会を開催し、それを機会に以降毎年この日に「憂国忌」として盛大に開催

されている。当時私たちを思想的、理論的にご指導してくださった林房雄先生は以下のような「趣意書」を書かれた。

 

「三島由紀夫の思想と行動の意義は、日本人の心に静かに浸透し、理解されつつある。特に、戦後育ちの青年層への影響の強さ

には驚くべきものがある。 『憂国』とは何か?愛なきところには憂いはない。自己を、家族肉親を、国を、世界を、人類を愛し、

その危機を予感する時、憂いは生れる。

 我々は人類を愛し、世界の危機を憂うる。ただし、この危機に対処するためには、諸国民はひとまず国境の内側で立ち止まらな

ければならぬ。世界と人類は今日ではまだ具体としては存在せず、未来に属する概念であり理想である。我々はおのれの生れ育っ

た国の危機を解決して初めて世界と人類の未来に通じる道を開くことができる。

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