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【論説】日本人はなぜ陰謀論が好きなのか
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2021年6月11日は、一部の陰謀論者にとって少々緊張をもたらす日付となった。2001年9月11日に米同時多発テロ事件が、2011年3月11日に東日本大震災が発生。各10年後で、9月と3月と続き6月。第3の使徒ならぬ大災害が訪れるという説が盛り上がったからだ。
こうした陰謀論や都市伝説は、数字の並びや言葉の偶発的な一致だけを根拠にしている。世界を裏で牛耳る組織が3の倍数を重んじ、万物を見通す智慧の目によって、環境汚染や人口増加など種の絶滅危機を未然に防ぐための戦争や災害を仕掛ける――などと吹聴するのが、定番コースだ。
フリーメーソンやテンプル騎士団、ロスチャイルド家、ロックフェラー財団、ゴールドマンサックス、JPモルガンなどオカルト陰謀論でよく使われる組織や財閥名は、その界隈に詳しくない人でも一度は耳にしたことがあるはずだ。
不明確な根拠によって、一般にはあまり知られていない謎の組織が、自分勝手な理由によって世界を危機に陥れる。そんなバカバカしい詐欺めいた話も、日時を指定され、偶然にも一致する過去の数的事実を繋ぎ合わされると、「まさかそんなはずが」「でももしかすると」「本当にあったら」「あり得るかも」と、次第に不安になってくる。
22年前にもノストラダムスの大予言が日本中をざわつかせた。「1999の年、7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」と解釈された16世紀フランス占星術師の予言詩は雑誌やテレビ番組などで何度も採り上げられ、多くの日本人がうっすらと信じた。当時、数々の予言を的中させてきたと紹介されたノストラダムスだが、どれ1つとしてはっきりと何が起こるかを言い当てたものはない。
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