新国立競技場

東京オリンピック・パラリンピックの実現が、外堀から埋まっていく感がある。政府と東京都、大会組織委員会は3月20日、IOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)と5者協議を行い、海外からの観客の受け入れを断念することで合意した。

開催が半年後に迫るなかでCOVID-19の早期収束が難しく、国内外の自由な移動は困難と判断した。海外在住者のチケット63万枚は払い戻す意向だ。バッハIOC会長は「参加者全員の安全のために必要な決定だ」「(収束が困難な中では)犠牲が必要だった」とコメントしている。

NYタイムズは日本のワクチン接種の遅れを指摘した上で「海外の客を禁じたところで五輪開催に対する国民の不安を払拭できるとは考えにくい」と報道した。観戦チケット抽選の当たり外れで一喜一憂した1年半前がウソのように、五輪という巨大イベントが日本にとってとんだお荷物に成り果ててしまった。