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【論説】脳を快楽漬けにするスマホは麻薬である

※イメージ画像

 

昨年11月に新潮新書から発売された『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳)が、ベストセラーを続けている。

 

帯封の見出しが魅力的である。「スティーブ・ジョブズはわが子になぜiPadを触らせなかったのか?」「うつ、睡眠障害、学力低下、依存症……最新の研究結果があぶり出す恐るべき真実。教育大国スウェーデンを震撼させ、社会現象となった世界的ベストセラー、日本上陸」

 

著者であるハンセン氏の母国スウェーデンのスマホ普及率は世界4位の86%(2018年春調査)と高い(1位は韓国の95%で、イスラエル88%、オランダ87%と続く。ちなみに日本は66%で、先進国の中央値76%よりも低い)。そんなスウェーデンでは近年、若者を中心に精神疾患が増え、国民の9人に1人が抗うつ剤を服用しているという。

 

記憶力や集中力、学力の低下といった被害報告も出ているようで、その原因が世界中の実験結果などから、スマホに関係があることが分かってきた。米サンディエゴ州立大学などの調査によると、2010年から2015年までに中高生の自殺率は31%上昇し、女子では65%も上昇したというデータもある。有史以来、右肩上がりを続けてきた人類の知性だが、2010年以降、衰退し始めているとの指摘もある。

 

ある実験で、私たちは平均10分に1回スマホをチェックすることが分かった。1度手に取れば、何回か操作を行う。その数は、1日平均2,600回にも上る。塵も積もれば山となり、スマホを扱う時間は1日平均4時間に達する。スマホという便利グッズを手に入れた私たちは、逆にスマホの奴隷になっているのである。

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