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【ストップ・ザ・左翼政局】 狂暴化する共産中国‼ 腫物扱いでよいのか 鳥居徹夫(元 文部科学大臣秘書官)
◆共産中国の暴虐にふれない官邸と外務省
1月28日、バイデン新大統領と菅義偉首相との日米首脳電話会談が行われた。
米政府が「両首脳は中国、北朝鮮を含む地域安全保障問題を議論した」と発表した。ところが日本政府の発表には「中国」という言葉がなかった。
これは異常と言わざるを得ない。官邸も外務省も、確信犯なのである。
さる1月26日、自民党は外交部会・外交調査会の合同会議を開いた。
議題は「米国の対中人権外交(香港、新疆ウイグル自治区、チベット自治区)について」であった。共産中国による少数民族弾圧について、外務省の担当者は「ジェノサイド(民族大量虐殺)と認めたわけではない」と説明したという。
外務省は、日本は「日本はジェノサイド条約に未加入、言葉の定義づけもしていないので、ジェノサイドという表現自体使ってこなかった」と述べたという。
これは明らかに詭弁である。ジェノサイド条約には、公式訳はなくとも「仮訳」は存在する。そうでないと条約の内容を知ることすらもできない。
しかも国際条約の名称のジェノサイドに限定しなくとも、日常的にジェノサイドという言葉は、国際的に広く使われている。
ジェノサイドとは、ある国家あるいは民族(人種)を地上的に抹殺、計画的に破壊、集団殺害、集団殺戮 という意味で用いられ、とりわけ国家が大量殺戮に積極的に遂行することで、現に中国国内の周辺民族に対して大量虐殺が推し進められている。
ウイグル人を百万人単位で強制収容施設に入れ、内モンゴルでは母国語による教育を剥奪した。英国から返還された香港でも、容赦なく市民と学生の民主化の運動を鎮圧している。
イギリスと共産中国で50年間と約束した「香港の一国二制度」は、23年で消滅したのである。
新疆ウイグルで行われていることを「ジェノサイド」と言ったのは、トランプ政権のポンペオ国務長官(当時)であった。それを日本の外務省が「ジェノサイドではない」と逆の見解を示したのである。
ジェノサイドを拡散する共産中国は、笑いが止まらないのではないか。
バイデン政権のブリンケン国務長官は、トランプ前政権の認定を引き継ぎ、共産中国の行為をジェノサイドだと断定し追及姿勢を見せている。
◆人権弾圧に鈍感な外務省と野党、日本のマスコミ
日本人に対する人権侵害である拉致問題に真剣に向き合い、拉致被害者家族の声を、米朝会談で金正恩(キム・ジョンウン)に突き付けたトランプ大統領は「ウイグル人権法案」に署名した。
鈍感なのが、日本政府とりわけ外務省と野党、そして日本のマスコミである。
在日ウイグル人でつくる日本ウイグル協会は1月28日、「ウイグル人は地獄の中に住んでいる」「中国政府を勇気づけ大量虐殺を加速させる口実を与える」「日本政府が(米政府に)異議を唱える」などの声明を発表した。
周辺地域の民族に対し、強制収容と強制労働、不妊手術、独自文化の廃絶に拷問、親子の引き離しが、共産中国では恒常的に行われているのである。
立憲民主党や国民民主党、共産党は、ウイグルやチベットの問題については何も言わない。そのくせ日米の結束を強化する「平和・安全保障法制」には、狂ったような集会やデモ、国会においても暴力的な議事妨害を展開したのであった。
これらの政党は、香港における議員や市民の逮捕、弾圧などには一応の反発を見せるが、中国大使館にデモや抗議を行ったことすらない。
自民党の合同部会で、ウイグル、チベット問題が取り上げられるのは、この1月26日が初めてであり、この日はなぜかマスコミがほとんどいなかった。
共産中国は、相変わらず諸民族を弾圧し続けている。
日本も国際的人権問題にもしっかり取り組んで、米国のように資産凍結、取引停止などの制裁と、抗議の意思を示すべきである。
◆欧米諸国との足並みを乱した外務省
外務省が昨年12月23日に一般公開した外交文書に、1989年6月4日の天安門事件に関するものがある。
天安門事件は、共産中国が民主化を求める学生らを武力鎮圧したことに世界が怒りを表明したが、日本は「長期的、大局的観点から得策でない」として、欧米諸国と共同の制裁に反対する文書を作成していた。
天安門事件当日の1989年6月4日の文書「中国情勢に対する我が国の立場(主として西側向け)」によると、天安門事件について「人道的見地から容認できない」としつつ、「我々とは政治社会体制及び価値観を異にする中国の国内問題。対中非難にも限界」と指摘し、「西側諸国が制裁措置等を共同してとることには日本は反対」との方針が明記してあった。
人権や民主化を重視する欧米諸国には制裁を求める声が根強く、1989年7月にフランスで開かれた先進7カ国首脳会議(アルシュ・サミット)では中国を非難する宣言が採択されたが、共同制裁は見送られる。
そもそもサミット(先進7カ国首脳会議)は、「あらゆる地域の民主主義の強化」へ結束を確認しあうものであった。
フランスで始まった第1回目のG7ランブイエ サミット宣言(1975年11月17日)は「我々は、各々個人の自由と社会の進歩に奉仕する開放的かつ民主的な社会の政府に責任を有する。そして、我々がこれに成功することは、あらゆる地域の民主主義社会を強化し、かつ、これらの社会にとり真に緊要である」と、高らかに謳っている。
日本は、サミット参加国でありながらも、共産中国の暴虐に世界が一致して対抗することに、足並みの乱れを誘引したのが日本政府(宇野宗佑内閣)であった。
◆共産中国は、世界の平和、自由と民主主義、人権への脅威
天安門事件では、多くの市民や学生、3千人ともいわれる人々が殺戮されたにもかかわらず、日本は「日中友好」という邪教を広げてきた。
このときの対応は、中国の国際包囲網突破に力を貸し、その結果いまもウイグル人とモンゴル人、香港の人々を弾圧した。共産中国の人権弾圧や暴虐は拡大する一方である。
歴史は繰り返すというが、1938年に英・仏・独・伊の首脳会談がミュンヘンで開かれた。チェコスロバキアのズデーテン地方のドイツへの併合・割譲を認めた。
軍備拡張を進めるナチスドイツへの融和政策であり、チェコ国民の意志に反したものであったが、当時イギリスのチェンバレン首相は、戦争の危機から脱したと評価されていたという。
その融和政策がナチスを増長させたことは言うまでもない。それが導火線となりヨーロッパ全体が、第二次世界大戦という戦火に拡大したことは歴史の教訓である。
共産中国に、少しでも甘い態度を見せては、ますます牙を研ぎ澄まし、暴虐と横暴を拡散させないためには、毅然とした態度と、民主主義の価値観を共有する諸国との連携と結束の強化が必須である。
天安門事件などで、世界から孤立した共産中国に救いの手を差し延べ、モンスター化させたのは日本の政府(外務省など)、マスコミなどの多くの誤ったメッセージではなかっただろうか。
いまや共産中国は、かつてのスターリンやナチスと同様、世界の平和、自由と民主主義、人権への脅威そのものである。