kokutai「日本への回帰」「揺るぎなき国体」

【日本への回帰】 覆面とマスク 荒岩宏奨(展転社代表取締役)

日本人に浸透したマスク

武漢発の新型コロナウイルスの感染が東京で増えはじめたのは三月頃だったと思う。報道では、予防策として手洗いやマスクの着用を推奨していた。

都知事が週末や夜間の外出自粛を都民に求めたのは三月下旬、緊急事態宣言が発令される前だった。このころ、すでにマスク不足に陥っていたとはいえ、東京の街ではほとんどの人がマスクを着用していた。世界保健機関(WHO)がマスクの着用を推奨したのは六月五日で、日本ではすでに緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」が唱えられていた時期である。

日本人は、世界保健機関がマスクは新型コロナウイルスの感染に効果が認められないと主張していたにもかかわらず、能動的にマスクを着用していたことになる。その理由の一つとして、新型コロナウイルスの蔓延とは関係なく、すでに日本ではマスクの着用が国民に浸透していたことが挙げられるだろう。

日本にマスクが海外から入ってきたのは明治初期だと言われている。このとき、マスクは粉塵を防ぐために用いられたようである。そして、マスクの着用が一般に広がったのは、大正時代のスペイン風邪(インフルエンザ)流行のときであった。このときも、日本国内ではマスクの着用を広く呼びかけ、多くの日本人がマスクを着用したようである。

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