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【とおる雑言】 「緊急事態」条項を憲法に 寺井 融(アジア母子福祉協会監事)

臨時国会で、各党代表が学術会議人事や「桜を観る会」前夜食事会費用について、(本会議や予算委で)多くの時間が割いていたのは納得がいかない。①コロナ対策②尖閣をはじめとする我が国の防衛③経済成長と社会保障の充実などこそ、もっと論議されてしかるべきではなかったのか。

特に①と②は、憲法論議に踏み込むべき。たとえばコロナ対策で店舗の休業が迫られていても、現在は自粛の要請やお願いをするしか方法はない。強制並びに取締りをすれば営業権の侵害であり、憲法で保証されている生活権を侵していると、「行政訴訟」に持ち込まれる可能性を秘めている。現在のコロナ対策は、空気が支配し、同調圧力が強いので、成り立っているのに過ぎない。

「日本国憲法は『平時憲法』だ」と喝破したのは、小林昭三早大教授である。

つまり、コロナなど疫病の大流行、東日本大震災のような大地震、尖閣などへの軍事侵略にどう対応すべきか。非常事態や危機管理に対応する条項が、現憲法には書き込まれていない。明文化を急ぐ必要がある。

そこで提案。現行日本国憲法の全百三条の後に、百四条として「緊急事態への対応」を設けてはどうか。創憲会議(旧民社系)の「憲法草案」第八十七条を援用すれば済む。

国民民主党が提案し、自民、公明、維新、立憲の一部などの賛同を得て成立させる。その上で「緊急事態基本法」を制定し、「新型コロナ特措法」も改正する。そんな議論をする国会となってほしかったのだが……。