pet「マリの喫茶室」

【マリの喫茶室】(53) 恐るべしウサギの力

○ ウサギの歯は伸び続ける

噛むのはウサギの本能である。ウサギの歯は一生伸び続けるので、硬いものを噛むことで歯の伸びを抑えている。

従って、ペレットや生野菜など軟らかいものばかり食べさせると、ウサギの歯が伸び続ける。歯が伸びすぎるとかみ合わせが悪くなり、不正咬合になる。

そのままにすると、歯が頬にあたり、痛みから食べることができなくなったり、最悪、眼球を圧迫したり、頬を貫通することもあるという。

このため、甘いもの、柔らかいものばかり食べないよう、ティモシー(干し草)しかない時間帯を作って誘導しなければならない。

○ 伸びすぎた歯は切らなければいけない

ウサギのマリは、ネザーランドドワーフという種類である。ネザーは、丸顔でかわいいのだが、鼻が突き出ていて面長な種類のうさぎに比べて口の大きさが小さく、不正咬合になりやすいという。

そのためか、マリはこれまで何度も伸びすぎた歯を切る羽目になっている。1年に1

度は切っている。獣医さんが、麻酔もせず、開口器で口をあけたまま固定し、ハサミで歯を切るのだ。自分がそうされたらすごく怖いし痛いだろうと思う。マリも毎回、断末魔のような、喉から絞り出すような悲鳴をあげる。見ていて本当にかわいそうである。ショックで心臓が止まってしまうウサギもいるそうだ。

○ クロスかじりがお気に入り

できるだけ歯を削らないですむように、日頃からティモシー(干し草)を主食とし、咬んでいいウサギ用のおもちゃを与えている。

しかし、マリはそういうおもちゃにはあまり興味を示さない。あてがいぶちでは満足しない。自分で見つけたものを咬むのが大好きなのである。

特に大好きなのが、壁のクロスをかむことである。ダメと言われるとますますやりたくなる。この辺りは犬や子どもと同じか。

私の目を盗むように、ベッドの後ろなど、目に留まりにくいところをせっせと噛んでいる。この結果、家のあちこちのクロスが見ずぼらしく破れ、資産価値を下げている。

○ そしてついに壁が貫通

家中のクロスを噛み散らかしているのだが、中でもお気に入りの私のベッドの後ろである。特に念入りに噛んでいた。そしてついに、ある時、壁に大きな穴ができているこ

とを発見してしまった!

○ おそるべしウサギの歯力。

わずか1キロしかないウサギが、あっという間に壁を貫通させた。げっ歯類の力は本当にすごい。ネズミも顔負けではないか?

クロスが剥がれているだけならまだ我慢できたが、クロスの下の石こうボードも咬み砕き、壁に空洞ができたのである。流石にそのままにしておくこともできない。

仕方なく、大工さんに頼み、クロスではなくウサギの歯がたたないであろうボードに張り替えて、補修した。(before after 参照)

 

before

after

 

思わぬ出費である。補修した後も、マリは、果敢に挑戦しているが、いまのところ歯がたたない。景観が保たれていてほっとしている。

最近はあきらめたのか、腹いせのように、今は襖をかじることに専念している。

おそるべし、ウサギの歯力。

でもこれでマリの歯の不正咬合が防止できるなら、かわいいマリの命にかかわることだから、仕方がないとあきらめている。

 

(クリスマスウサギ)