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[武漢ウィルス禍で中断されていたNHKの朝ドラ「エール」が先週から復活した。] 村田春樹

今日(9月21日)待望の「露営の歌」(勝ってくるぞと勇ましく)の出番だった。

ドラマでは昭和12年秋、China事変の出征兵士送る一群の人々を見て、「大変だなあ」と心を動かされた主人公古関裕而が、新聞に載った歌詞を見て一気に書き上げたことになっている。史実はその年の夏満州旅行していた古関が、朽ち果てた塹壕に夏虫の鳴くのを見て感興を覚え、帰路九州からの夜行列車で一気呵成に書き上げたものである。いずれにせよ、名曲中の名曲であり、戦時歌謡軍歌の最大のヒットであり傑作である。ドラマでは「この曲のヒットで古関は時代の波に飲み込まれていくのである」とナレーションが入っている。古関はこのヒットの後、慰問団に入り歌手楽団と共に大陸の戦地を転々とする。ある慰問会場で幾百のうずくまる兵士を前に歌曲の慰問演奏が終わり、慰問団長である古関が舞台に上り挨拶することになった。古関はマイクの前に立ち、汗と埃と泥にまみれうずくまる兵士を前に、挨拶どころか絶句してしまい、長い沈黙の後なんと号泣してしまったのだ。それを見ていた兵士が一人二人と泣き始め、将校も交えて幾百の兵隊全員が号泣したそうである。これは古関も同行の楽団員も証言しており事実である。私はこの逸話を古関の自伝「鐘よ鳴響け」で読んで落涙した。古関は兵隊たちに心から感謝し同情し生還を祈ったのである。古関の戦時の代表作「愛国の花」「暁に祈る」「ラバウル海軍航空隊」「若鷲の歌(予科練の歌)」どれをとっても、勇ましいだけでなく哀愁を覚える。兵隊への哀惜の情を感じるのは私だけではないだろう。古関はほんとうに心から兵隊に切々たる哀惜の情をもって、真摯に戦争に協力したのだ。当時は文学者も音楽家も画家もみな真剣に、強制されたわけでなく戦争に協力したのだ。戦争協力者?どこが悪い!

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