minsha 「とおる雑言」

【とおる雑言】 [異質な党に支配された末路] 寺井融【アジア母子福祉協会監事)

日本は、新型コロナによる死亡者数並びに重症者数が、欧米やブラジルなどに比べて、圧倒的に少ない。

しかし、感染症への対応が、自粛「要請」や「要望」などで、今後ともうまくいく保証はない。仮に「禁止」や「処罰」、「補償」といった強制措置も必要となった場合、法体系の整備が必要となる。コロナ対処の「特別措置法」の改定はもちろんのこと、日本国憲法に「緊急事態条項」を盛り込むことも、検討されてしかるべきである。

そう考えてはいたが、自民党は「改憲論議」に慎重な公明党に配慮してか、その種の議論を深めようとしない。立憲民主、国民民主の野党第一、第二党は、党利党略で「護憲」を叫ぶ日本共産党に遠慮してか、憲法を真正面から論議する場に出ようとしない。

国民の審判を仰ぐ際、不可欠な「国民投票法」改正案も、店晒しとなったまま。

立憲や国民の所属議員の中には、自分の選挙区に、共産党に候補者を立てられるかどうかが死活問題である、と考えている向きも多い。共産党の覚えがめでたく、実質上の野党統一候補となりたいのである。

自民党も、野党を笑ってはいられない。憲法改正に熱心な〝タカ派〟とみられると、〝ハト派〟の創価学会に嫌われるかもしれない、と怖じ気づいている議員も多いのだ。

かくして「憲法論議」は一向に進まず、「憲法を守って国民が死ぬ」。これぞ、党内民主主義に疑義がある、異質な少数政党に支配された民主政治の末路である。