the-diet国会

日本の「防衛白書」は、中国では「防衛黒書」

2020年度の防衛白書が公開された。

 

この防衛白書に対して中国は激しく反発した。

今年度の予算に関し、尖閣諸島、南シナ海、新型コロナ禍などでの中国への警戒感を如実に表したものであるという。だが、防衛白書では昨年と変わらず「安全保障上の強い懸念」、「強い関心で注視する」という表現にとどまっている。

 

それに対し、中国側は「力を背景に一方的な試みの継続であり、まったく容認できるものではない」と強く批判している。明らかに日本側の態度に問題ありと世界に述べているのである。

 

どちらがキッパリとこの問題を述べているのだろうか?

公平にみてどちらが主権の主張をしているように見えるだろうか?

中国である。

 

中国の覇権主義に関しては世界でも承知している国も多い一方、中国の資金や軍事に侵されモノ言えぬ国も多いのである。

その中国に対して、アジアの主要国である日本が、「中国は脅威である」と発信してこそ、次のアジアの平和へのステップに移行できるのではないだろうか。

 

日本側は常に懸念し、注視しての遠慮がちな「遺憾」一本鎗である。

これでは世界には通じないだろう。

 

「日本の領海内、領土内で不当に活動する国に対して、必要な処置を行うための防衛費」だと明言しても良いのではないかと、多くの人が思うはずである。

同時に、これは命を懸けて日本を守っている自衛隊、海上保安庁の人々に関しての、最大のメッセージとなり応援となるはずである。

 

今回の防衛予算総額は5兆3133億円となり、6年連続で過去最高額を更新した。

だがこの額は世界から見ると決して多すぎる数字ではない。

昨年の軍事費トップの米国は約6,500億ドル、2位の中国は約2,500億ドル、3位以下は

その単位も一桁減り、サウジアラビア、ロシア、インド、フランス、イギリス、そして日本とドイツがほぼ同じと続くが、軍事費の半分は米中、日本は2%に過ぎない額である。

 

日本を守るために必要な防衛費だが、単純に兵器や装備のみに費やされるわけではなく、日米安保に係わる部分も含めれば、果たしてこの額で良いのかどうか、更なる判断と上積みが必要ではないだろうか。

 

中国は「日本の防衛黒書」とよんでいるそうだが、一桁も違う軍事費を誇るなら、他国の防衛予算に異論を唱えるべきではなく、それなりの矜持をもってほしいと願うが、それは未来永劫無理であろう。

それなら、日本は少なくとも、中国に毅然とした態度・言葉で「モノ言う国。意見を述べる国。アジアの意見をまとめる国」になってほしいものだ。