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【論説】世界史を大きく変えてきた感染症
人類の歴史は感染症の歴史でもある。病原体はウイルスに限らず、菌類や虫類のこともある。
最古の文献では、古代メソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』(紀元前2100年)に記され、エジプト新王国や中国・殷の時代に記された甲骨文字にも疫病とみられる言及がされている。
近世以前、感染拡大は神の怒りや呪いと受け取られ、霊媒師や祈祷師の権威を高めた。伝染病という認識は11世紀のイスラム医学者イブン・シーナーの『医学典範』などを通じて徐々に広がり、14世紀に猛威を振るった黒死病(ペスト)では衣類などの接触を通じて伝染されることを人々が恐れた。それでも、キリスト教世界に生きる人々は神に救いを求め続けた。
人類が、病原体そのものを視認したのは、1684年の光学顕微鏡による細菌観察だといわれる。細菌よりも小さい病原体があると認識されたのは20世紀に入ってからだ。たんぱく質と核酸だけで構成されるウイルスの存在を人類が電子顕微鏡で確認できたのは1935年で、まだ100年も経っていない。
感染症はどの時代も常に存在し、変異を繰り返すために根絶が困難なものも少なくない。ここでは、世界史を変えるほどの猛威を振るった代表的な4つの感染症を取り上げたい。
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