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新型コロナ緊急経済対策108兆円 その効果は

政府は7日、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、緊急事態宣言を行った。併せて政府は「事業規模108兆円」とする緊急経済対策を閣議決定。ただ、宣言が定める5月6日までに感染を抑え込めるかは不透明で、自粛の長期化も想定される中、一層厳しさを増す国民の暮らしや経済を支えるには十分ではないとの見方も出ている。

 

政府が今回打ち出した経済対策の事業規模は108兆円。GDP比にすると20%を超え、政府は「過去最大」と胸を張る。

目玉となるのは6兆円を超える現金給付だ。住民税非課税世帯など収入が大きく減少した世帯に総額約4兆円の生活支援を行う。また、休業などで売り上げが落ち込んだ中小企業に対しては最大200万円、フリーランスを含む個人事業主には最大100万円を給付し、こちらが合計2兆円となる。

政府の感染拡大の防止策としての新たな支出としては、マスクの確保と配布、人工呼吸器の生産、治療薬として注目されるアビガンの確保やワクチンの開発などで合計約11兆円となっている。

この現金給付6兆円と感染拡大防止の11兆円の合計17兆円が経済成長率を押し上げる「真水」としての経済対策となる。

 

上記以外の90兆円は政府の新たな支出ではなく、大きな経済効果を生み出さないと考えられる。中には税金や社会保険料の支払い猶予26兆円も含まれている。納税猶予は、経済状況が厳しい中、資金繰りが厳しい企業を救うことにはなるが負担を先送りするだけで経済を大きく刺激するものではない。

また、今回発表した経済対策には、既に決まっていた対策分も含まれ、一部で「二重計上」となっており、自民党の中からも事業規模を大きく見せようとしているだけとの批判が出ている。

 

今回の新型ウイルス感染により、GDPは10%押し下げられるとの観測もある。政府の実質的な財政支出となる17兆円はGDP比3%程度で、観測が事実となれば圧倒的に不足し、日本経済に深刻な影響を与えることになる。

緊急事態宣言の期限となる5月6日までに事態が鎮静化している可能性は低く、国民の安心のためにも、野党のみならず政府内からも更なる経済対策を求める声が上がることになりそうだ。