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百田尚樹著『日本国紀』発売‐ベストセラーとなるも内容に賛否

 今月11日、幻冬舎より作家・百田尚樹氏の著書『日本国紀』が発売となった。『永遠の0』、『海賊とよばれた男』などのヒット作を生んだ百田氏が古代から現代までの日本通史を著した同書は発売前から重版となるほどの話題を呼び、既に売り上げは40万部を超えているとされる。
 
 期待を持って購入した読者からは「学校では教えてもらえない歴史だ」、「子供に読ませたい」、「日本人で良かったと思える」といった感想がインターネット上で聞かれる。
 
 一方で批判的な意見も同様に散見される。百田氏の言論に従前から批判的な読者層だけでなく、保守層からの批判が数多いことも特徴だ。それは旧来の保守系の歴史学者の説とは異なる、作家ならではのユニークな歴史観が同書には表現されているからであろう。下記のような批判が見受けられる。
 
● 神話からではなく縄文時代から記述が始まる
● 古事記・日本書紀ではなく中国の史書を重視して記述している箇所が複数ある
● 仲哀天皇と応神天皇で王朝が入れ替わった、現皇室は継体天皇から始まったと王朝交代説を支持している
● 戦前は忠臣とされた楠木正成を「悪党」とする
● 長州藩の扱いと比べて幕末期の幕臣や会津藩を高く評価している
 
 徳富蘇峰『近世日本国民史』、平泉澄『物語日本史』、井沢元彦『逆説の日本史』、西尾幹二『国民の歴史』、あるいは日本を守る国民会議や新しい歴史教科書をつくる会などによる学校教科書まで、保守による日本通史は常に大きな話題を呼び、国民の国史への議論を深化させてきた。
 
 様々な議論はあるが、『日本国紀』がこの年末に大きな議論を呼ぶ1冊であることは間違いがない。同書が、多くの人が我が国の歴史に興味と関心を持ち、理解を深めるきっかけとなることを期待したい。