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【論説】西日本豪雨で指定へ、近年急増する激甚災害
安倍首相は7月11日、西日本豪雨の被災地である岡山県内を視察し、激甚災害指定を迅速に行う考えを明らかにした。激甚災害に指定されると、被災自治体の復旧事業への国の補助率が通常の7、8割程度から最大9割程度、つまり1割から2割引き上げられる。近年よく聞く激甚災害は、いつどのような経緯でできた制度なのか。
激甚災害は、国民生活に著しい影響を及ぼし、被災地域への財政援助や助成が必要となる大災害に対し、閣議で指定される。1962年施行の激甚災害法(激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律)に基づき、政令で国が指定することになっている。
台風や大震災など、全国規模で災害そのものを指定する「激甚災害指定基準による指定(本激)」と、局地的な豪雨などを市町村単位で指定する「局地激甚災害指定基準による指定(局激)」の2種類ある。
指定された自治体は、道路、河川、学校、被災者住宅などの復旧・建設事業、農地や水産業施設の復旧事業、感染予防事業などで補助金を受けることができる。また被災地の中小企業、農林漁業者への特別な貸付制度や災害保証の優遇制度も設けられる。
以前は基準が厳しかったが、見直しの声を受けて2000年施行の激甚災害改正法で基準が緩和された。以後、本激・局激ともほぼ毎年といっていいほど指定が増えている。これまで本激に指定された主な災害に、1995年の阪神・淡路大震災、2004年の新潟県中越地震、2007年の台風5号による暴風雨災害、2011年の東日本大震災などがある。
最近5年間の激甚災害(本激・局激)指定は25件に上り、台風被害は毎年、ほぼ2回以上の指定がある。詳細は、内閣府HP(http://www.bousai.go.jp/taisaku/gekijinhukko/list.html)で閲覧できる。