contribution寄稿・コラム

保守とは何か 玉川博己(三島由紀夫研究会代表幹事)

玉川 先般の参議院選挙は与党の圧勝で終わりました。選挙期間中は様々な政党や候補が乱立しましたが、その中で某宗教団体(S学会ではありません)を母体とする政党(仮にK党としておきましょう)については、意外にも多くの保守・民族派の知人から投票の呼びかけがありました。確かにそのK党の掲げた政策を見ると安保・外交は与党以上に堅実な主張であり、国防の強化や原発推進なども明確に訴えていました。それだけを見れば、保守を自認する私としてはその政党を支持してもいいのですが、問題はそのK党が以前から掲げてきた「新・日本国憲法試案」なるものの中身です。

 すなわちK党の憲法試案には国体や天皇の規定がなく、日本国は大統領を元首とする大統領制とする、と書かれています。また別の政策主張の中で「天皇制」は文化的存在として、司法・行政・立法の三権と矛盾しない範囲においてその存続を認める、とも主張しています。つまり国体を否定し、「天皇制」というかつてコミンテルン・テーゼで用いられた共産主義用語を平然と使う彼らK党とは一体何ものなのか、正に唖然とします。また「文化的存在」といいながら、皇室をまるで神社の社殿かお寺の仏像と同等に扱う態度は理解に苦しみます。これではK党は、最終的に「天皇制」廃止を目指す日本共産党と同じか、「天皇制」の将来は国民の決定に委ねるという共産党の方がまだ「民主的」であり、ましなのかも知れません。

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